「106万円の壁」撤廃はいつから?扶養パートが知っておきたい変更点

106万円の壁

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「106万円の壁がなくなるらしいけど、私の働き方はどう変わるの?」 パートで働く方は、こんな疑問があるかと思います。

2026年10月から、これまで扶養パートの働き方を左右してきた「106万円の壁」の一部が撤廃される見込みです。とはいえ、いきなりすべての壁がなくなるわけではなく、少しずつ段階を踏んで変わっていく制度です。

この記事では、厚生労働省の発表をもとに、「いつから」「何が変わるのか」「私はどうすればいいのか」を順番に見ていきます。

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この記事の筆者:「うどまる」
沖縄在住。
建設業とトラックドライバーを経て、2021年よりブロガー兼Webライターとして活動中。
3級ファイナンシャルプランニング技能士、簿記3級資格保持者。

目次

そもそも「106万円の壁」とは?撤廃までの背景

106万円の壁とは?

まずは、これまでの仕組みを整理しておきましょう。「106万円」という数字がどこから来ているのかを知っておくと、何が変わるのかも理解しやすくなります。

106万円の壁の仕組み

「106万円の壁」とは、パートで働く方が勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになる、年収の目安ラインのことです。

これまでは、次の条件をすべて満たすと、年収がおよそ106万円(月収8.8万円)を超えたタイミングで社会保険への加入が必要になっていました。

社会保険に加入する条件(2026年9月まで)
  • 従業員51人以上の会社で働いている
  • 週の労働時間が20時間以上
  • 2か月を超えて働く見込みがある
  • 学生ではない

社会保険に入ると毎月の給料から保険料が引かれるため、「年収を106万円未満に抑えよう」とあえて労働時間を調整する方が多くいました。これが「壁」と呼ばれてきた理由です。

なお、この「月収8.8万円」を計算するときには、通勤手当や残業代、賞与(ボーナス)は含まれません。基本給と決まって支払われる手当だけで判断されるため、「残業のおかげで年収は106万円を超えているけれど、基本給だけならまだ106万円未満」というケースでは、加入対象にならないこともあります。

「従業員51人以上」の数え方に注意

条件のなかで、もっとも誤解されやすいのが「従業員51人以上」という部分です。
ここでいう従業員数は、パート・アルバイトを含めた全員ではありません。フルタイムで働く方と、フルタイムの4分の3以上の時間で働く方、つまり厚生年金保険の被保険者の人数で判断します。法人の場合は、店舗単位ではなく法人全体で数えます。
「うちの店はパートを含めれば100人くらいいるから対象のはず」と思っていたら、数え方を確認すると対象外だった、という行き違いも起こりがちです。気になる方は、勤務先の担当者に確認しておくと安心です。

なぜ撤廃されることになったのか

2025年6月、この仕組みを見直す「年金制度改正法」が成立しました。少子高齢化が進むなかで、より多くの人が厚生年金に加入できるようにし、将来もらえる年金を手厚くすることが目的です。

背景には、人手不足という事情もあります。年末が近づくと「あと〇時間働くと壁を超えてしまう」という理由でシフトを減らすパートの方が増え、現場の人手不足に拍車をかけているという指摘が以前からありました。年収を気にせず働ける環境をつくることで、働きたい人がより長く働けるようにする狙いもあるのです。

この改正によって、年収の条件(月8.8万円の壁)が撤廃されることになりました。

106万円の壁はいつ撤廃される?改正スケジュールを整理

106万円の壁はいつ撤廃される?

「撤廃」と聞くと、一気にすべての壁がなくなるイメージを持つかもしれませんが、実際は段階的に進みます。時期の決まり方にも、少し注意が必要です。

賃金の条件がなくなる時期は「最低賃金しだい」

年金制度改正法では、月8.8万円という賃金の条件について「2025年6月から3年以内に撤廃する」と定められました。日付が法律で決め打ちされているわけではなく、全国の最低賃金が1,016円以上になる状況を見極めて判断するという仕組みです。
時給1,016円で週20時間働くと年収がおよそ106万円になるため、この水準が判断の目安とされています。

そして2026年度の最低賃金は、全国平均が1,177円、もっとも低い県でも1,085円となり、目安の1,016円を全国で上回りました。こうした状況から、2026年10月の撤廃が有力視されています。ただし最低賃金の発効日は都道府県ごとに2026年10月1日から12月2日までばらつきがあり、厚生労働省も現時点では「3年以内に撤廃」という表記にとどめています。実際の時期は、公式発表で最終確認してください。

2027年10月〜2035年10月:会社の規模の条件も少しずつなくなる

一方で「従業員51人以上の会社であること」という条件は、すぐにはなくなりません。対象になる会社の規模は、次のように段階的に広がっていきます。

対象になる従業員数の推移
  • 2027年10月:36人以上の会社
  • 2029年10月:21人以上の会社
  • 2032年10月:11人以上の会社
  • 2035年10月:すべての企業・事業所が対象に

つまり、勤務先の規模によって、社会保険に加入するタイミングが変わってきます。「うちの会社はまだ対象外」という方も、いずれ対象になると覚えておきましょう。

これからは「週20時間働いているか」がポイントに

年収の条件がなくなったあとは、「週20時間以上働いているかどうか」が、社会保険に入るかどうかを分けるおもな基準になります。年収よりも、働く時間の長さが重視される仕組みに変わっていくイメージです。
なお、ここでいう20時間は雇用契約で決められた所定労働時間で、休憩時間は含みません。

撤廃後、扶養パート・アルバイトはどうなる?

106万円の壁が撤退でパートやアルバイトはどうなる?

制度の流れがわかったところで、次は自分の働き方にどう影響するのかを見ていきます。新たに対象となる人の範囲と、混同されやすい「130万円の壁」との違いを押さえておきましょう。

これまで加入していなかった人の変化

週20時間以上働いていて、勤務先が対象規模になれば、これまで年収を抑えていた方も社会保険への加入対象になります。厚生労働省の資料では、賃金の条件がなくなることで、新たに約90万人が社会保険に加入すると見込まれています。
配偶者の扶養に入っていた方、国民年金だけに加入していた方、60歳以上で加入していなかった方など、幅広い層が対象です。「自分も当てはまるかも」と感じた方は、このあとのメリット・デメリットも参考にしてみてください。

「130万円の壁」は別物として残る

似た言葉に「130万円の壁」がありますが、こちらは今回撤廃される制度とは別物です。

106万円の壁と130万円の壁の違い
106万円の壁…勤務先の社会保険に自分で入るかどうかのライン
130万円の壁…配偶者の健康保険の扶養に入れるかどうかのライン

130万円の壁は、今回の改正後もそのまま残ります。2つを混同しないようにしましょう。

一時的に収入が増えても扶養を続けられる特例も

繁忙期の残業などによって一時的に年収が130万円を超えた場合でも、勤務先の事業主に「一時的な収入増加」であることを証明してもらい、被扶養者の収入確認時に提出することで、原則として連続2回まで扶養に入り続けられる場合があります。

この「事業主の証明による被扶養者認定」の仕組みは、2025年10月から恒久的な取扱いとなりました。ただし、基本給の引き上げや労働契約の変更などによって恒常的に年収130万円以上になると見込まれる場合は対象外です。

この証明書は、勤務先が「今回の収入増加は一時的なもので、来年の見込み年収は130万円未満に戻る」といった内容を記載して発行するものです。「繁忙期にたくさんシフトに入ったら年収を超えてしまいそう」というときは、慌てずにまず勤務先の担当者へ相談してみましょう。

106万円の壁撤廃のメリット・デメリット

106万円の壁撤廃のメリット・デメリットのイメージ画像

社会保険への加入は、「損か得か」の一言では決められません。将来にプラスになる部分と、目先の手取りに響く部分の両方を、順番に確認していきましょう。

メリット:将来の年金や保障が手厚くなる

社会保険に加入すると、将来受け取れる年金額が増えるほか、病気やケガで働けなくなったときの「傷病手当金」、産休中の「出産手当金」なども受け取れるようになります。

日本の年金は、よく「1階部分(国民年金)」と「2階部分(厚生年金)」の2階建てにたとえられます。扶養の範囲で働いていると1階部分だけですが、社会保険に加入すると2階部分も上乗せされるため、将来受け取れる年金額はその分手厚くなる仕組みです。

保険料を会社と半分ずつ負担する点も見逃せません。国民健康保険や国民年金を全額自分で払う場合と比べると、同じ保障を得るための負担は軽くなります。

デメリット:手取りが一時的に減ることも

一方で、社会保険料が給料から引かれる分、目先の手取り額は減ってしまいます。「働く時間は変えていないのに、振り込まれる金額が減った」と感じる方も出てくるでしょう。

目安として、厚生年金保険料と健康保険料の本人負担分を合わせると、年収のおよそ14〜15%が保険料として引かれます。ただし健康保険料率は加入する健康保険や都道府県によって異なり、40歳以上になると介護保険料も加わるため、実際の金額には幅があります。

加入直後は手取りが落ち込みますが、この落ち込みは働く時間を増やすほど小さくなり、年収が120万円台に入るあたりから加入前の水準に近づいていくといわれています。

勤務先の支援制度も確認しておきたい

手取りの減少をやわらげるため、国は「年収の壁・支援強化パッケージ」として、企業向けの助成金を用意してきました。
そのうち、社会保険への加入にあわせて手当の支給や賃上げを行った企業を支援する「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、2026年3月31日までに取り組んだ事業主が対象とされており、現在は「短時間労働者労働時間延長支援コース」への切り替えが案内されています。

こうした助成金を活用するかどうかは会社の判断になります。勤務先が手当の上乗せなどを検討しているかどうか、気になる方は担当者に聞いてみるとよいでしょう。

撤廃後も損しない働き方は?3つの選択肢

106万円の壁が撤廃しても撤廃後も損しない働き方は?3つの選択肢

メリットとデメリットを踏まえると、これからの働き方は大きく3つに分かれます。どれが正解ということはなく、何を優先したいかで選び方が変わってきます。

① 働き方を変えず、社会保険に加入する

将来の年金や保障を重視するなら、これまでどおりの働き方を続け、素直に社会保険に加入するのも一つの選択です。長い目で見れば、老後の年金額にプラスになりますし、勤務先が手当などでサポートしてくれる場合は、手取り減少の影響も小さく抑えられます。

② 労働時間を調整して扶養の範囲にとどまる

目先の手取りを優先したい場合は、週20時間未満に労働時間を抑えることで、引き続き扶養の範囲で働くこともできます。ただし、勤務先の規模によって対象になるタイミングが異なるため、いつから条件が変わるのか確認しておくと安心です。家計への影響を考えると、シフトの組み方を職場と早めに相談しておくのもよいでしょう。

③ しっかり働いて厚生年金・健康保険のメリットを活かす

思い切って労働時間を増やし、収入そのものを底上げする方向で考えるのも選択肢の一つです。先ほど触れたとおり、年収が120万円台に入るあたりから手取りの落ち込みも和らいでくるため、「どうせ加入するなら、もう少し働いて収入も増やしたい」という考え方もできます。

どの働き方が合っているかは、家庭の状況やライフプランによって変わります。迷ったときは、勤務先やFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるのもおすすめです。

よくある質問

106万円を超えたら、すぐ社会保険に入らないといけないの?

加入するかどうかは、年収だけでなく「勤務先の規模」「週の労働時間」などの条件で決まります。賃金の条件がなくなったあとは、週20時間以上働いているかどうかがポイントになります。

撤廃の時期は決まっているの?

法律では「2025年6月から3年以内」と定められており、全国の最低賃金が1,016円以上になる状況を見極めて判断されます。2026年10月が有力視されていますが、確定した時期は公式発表でご確認ください。

すでに社会保険に入っている人は何か変わるの?

すでに加入している方の働き方が急に変わるわけではありません。今回の改正は、これまで加入していなかった方が新たに対象になる仕組みの見直しです。

130万円の壁もなくなるの?

いいえ、130万円の壁(配偶者の扶養に入れるかどうかのライン)は、今回の改正後もそのまま残ります。

社会保険に入ると、保険料はどのくらい引かれるの?

目安として、年収のおよそ14〜15%です。加入する健康保険や年齢によって変わり、働く時間を増やすほど手取りへの影響は小さくなっていきます。

まとめ|今からできる準備

「106万円の壁」は、まず年収の条件がなくなり、その後2035年にかけて会社の規模の条件も段階的になくなっていきます。一気に制度が変わるわけではないので、慌てる必要はありません。

大切なのは、自分の勤務先がいつ対象になるのかを確認し、社会保険に加入して働くのか、扶養の範囲にとどまるのか、早めに考えておくことです。

「手取りが減るのは困るけど、将来の年金は増やしたい」など、優先したいことは人によって違います。まずは今回ご紹介した制度の流れを頭に入れておき、実際に対象になりそうなタイミングが近づいたら、勤務先の担当者やFPに相談しながら、自分と家族に合った働き方を選んでいきましょう。

※本記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度は改正や公式発表によって変わる場合があるため、最新の情報は厚生労働省・日本年金機構の公式サイトでご確認ください。

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