5月の給与明細を見て、「先月より手取りが少ない」「社会保険料が増えている気がする」と感じた方もいるのではないでしょうか。
その理由のひとつとして考えられるのが、2026年4月分の保険料から始まった子ども・子育て支援金制度です。
会社員の場合、子ども・子育て支援金は健康保険料などの医療保険料とあわせて給与から天引きされます。こども家庭庁によると、被用者保険では令和8年度の支援金率は0.23%で、基本的に本人と会社が半分ずつ負担する仕組みです。
この記事では、子ども・子育て支援金が給与明細にどう影響するのか、年収別にいくら引かれるのか、ボーナスや扶養家族の扱いまで、FPの視点でわかりやすく解説します。
- 制度の開始時期
- 会社員の反映時期
- 令和8年度の支援金率
- 本人負担の考え方
- 年収別の負担額の目安

この記事を書いた人「うどまる」
沖縄在住。建設業や運送業を経て、2021年よりフリーのWebライターとして活動中。
FP3級、簿記3級資格取得者。
5月の給与明細で手取りが減った理由は「子ども・子育て支援金」かもしれない

5月の給与明細で控除額が増えている場合、まず確認したいのが社会保険料の欄です。
2026年4月分の保険料から、医療保険料に上乗せされる形で「子ども・子育て支援金」が始まりました。会社員や公務員などの被用者保険に加入している人は、給与天引きで支援金を負担します。
ただし、給与明細の表示方法は会社によって異なります。
「子ども・子育て支援金」と独立して表示される場合もあれば、健康保険料や社会保険料の内訳に含まれているケースも考えられます。そのため、5月の手取りが減っていると感じたら、4月と5月の給与明細を並べて確認することが大切です。
正式名称は「子ども・子育て支援金制度」
検索では「子供子育て支援制度」「子育て支援金」「独身税」などの言葉で調べられることがあります。
ただし、今回始まった制度の正式名称は子ども・子育て支援金制度です。
この制度は、児童手当の拡充や、こども誰でも通園制度、妊婦のための支援給付など、子育て支援策の財源に充てられます。こども家庭庁は、2023年12月に策定された「加速化プラン」により、3.6兆円規模の子育て支援の拡充に取り組むと説明しています。
税金ではなく医療保険料に上乗せされる
子ども・子育て支援金は、所得税や住民税のように直接納付する税金ではありません。
会社員の場合は、健康保険料などの医療保険料とあわせて給与から天引きされます。自営業者やフリーランスなど国民健康保険に加入している人は、市町村の条例に基づいて支援金額が決まります。後期高齢者医療制度の加入者も、広域連合の条例に基づいて決定される仕組みです。
つまり、会社員にとっては「新しく納付書が届く」というより、給与明細の控除額に反映される負担と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ4月開始なのに5月給与から引かれるの?

子ども・子育て支援金制度は、2026年4月分の保険料から始まっています。
しかし、会社員の場合、4月分の社会保険料が5月給与から天引きされることが多いため、給与明細で変化に気づくのは5月になりやすいです。
会社の計算ミスとは限らない
5月の給与明細で手取りが減っていると、「会社の計算ミスでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、社会保険料の欄が増えている場合、子ども・子育て支援金が反映された可能性があります。
まずは以下の手順で確認してみましょう。
・4月と5月の給与明細を用意する
・控除欄の「健康保険料」「社会保険料」を比較する
・「子ども・子育て支援金」の記載があるか確認する
・不明な場合は勤務先の給与担当者に聞く
ただし、手取りが減る理由は支援金だけとは限りません。
残業代の減少、住民税の変更、社会保険料の等級変更、扶養状況の変更なども影響します。支援金だけを原因と決めつけず、給与明細全体を確認することが大切です。
子ども・子育て支援金はいくら引かれる?会社員の計算方法

会社員の子ども・子育て支援金は、給与や賞与をもとに計算されます。
令和8年度の被用者保険の支援金率は0.23%です。支援金額は標準報酬月額に支援金率をかけて計算されますが、基本的に半分は会社が負担します。
本人負担額の計算式
会社員本人の月額負担は、次の式で考えます。
標準報酬月額 × 0.0023 ÷ 2
※(0.23%は少数に変換する)
たとえば、標準報酬月額が30万円の場合は、以下のように計算します。
この場合、本人負担の目安は月345円です。
標準報酬月額とは?
標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために使われる基準額です。
毎月の手取り額そのものではなく、基本給や各種手当などをもとに決まります。給与明細に記載されている場合もありますが、わからない場合は勤務先の給与担当者に確認するとよいでしょう。
ここで注意したいのは、年収そのものに単純に0.23%をかければ毎月の給与天引き額が正確に出るわけではない点です。実際の月々の負担額は、標準報酬月額や賞与の有無によって変わります。
年収別に見る子ども・子育て支援金の月額目安

自分がどのくらい負担するのか、年収別の目安を見てみましょう。
こども家庭庁が公表している令和8年度の被用者保険の試算では、年収別の本人負担額は次のように示されています。
| 年収の目安 | 本人負担の月額目安 |
|---|---|
| 200万円 | 192円 |
| 400万円 | 384円 |
| 600万円 | 575円 |
| 800万円 | 767円 |
| 1,000万円 | 959円 |
たとえば、年収400万円の会社員であれば、本人負担は月384円程度です。年収600万円では、月575円程度が目安になります。
ただし、これはあくまでモデル試算です。実際の負担額は、毎月の給与、賞与、標準報酬月額などによって変わります。
年間ではいくらになる?
月額では数百円でも、年間で見ると負担感は変わります。
| 年収の目安 | 月額目安 | 年間目安 |
|---|---|---|
| 200万円 | 192円 | 2,304円 |
| 400万円 | 384円 | 4,608円 |
| 600万円 | 575円 | 6,900円 |
| 800万円 | 767円 | 9,204円 |
| 1,000万円 | 959円 | 11,508円 |
支援金だけを見れば大きな金額ではないかもしれません。しかし、物価上昇、社会保険料、住民税、保険料、通信費などが重なると、家計全体では負担感が増えます。
給与明細のどこを見れば確認できる?

子ども・子育て支援金が反映されているか確認するには、給与明細の控除欄を見ましょう。
会社によって表記は異なりますが、主に次の項目を確認します。
| 確認する欄 | 見るポイント |
|---|---|
| 健康保険料 | 先月より増えていないか |
| 社会保険料合計 | 控除額全体が増えていないか |
| 子ども・子育て支援金 | 独立した項目として表示されていないか |
| 差引支給額 | 手取り額がどの程度変わったか |
とくに、4月給与と5月給与を比較すると変化がわかりやすくなります。
手取りが減る理由は支援金だけとは限らない
5月の給与明細で手取りが減っていても、すべてを子ども・子育て支援金の影響と考えるのは早いです。
たとえば、次のような要因でも手取りは変わります。
- 残業代が減った
- 住民税が変わった
- 社会保険料の等級が変わった
- 扶養家族の状況が変わった
- 会社独自の控除が増えた
- ボーナスや手当の支給条件が変わった
うどまる給与明細を見るときは、「支給額」と「控除額」の両方を確認しましょう
ボーナスからも子ども・子育て支援金は引かれる?

子ども・子育て支援金は、毎月の給与だけでなく、ボーナスからも拠出されます。これは健康保険制度や厚生年金保険制度と同様の扱いです。
ボーナス月は手取りの変化に注意
ボーナス支給月は、普段の給与よりも控除額が大きくなります。
健康保険料や厚生年金保険料と同じように、子ども・子育て支援金も賞与に関係するため、賞与明細の控除欄も確認しておきましょう。
ボーナスを住宅ローンの繰上返済、車検、家電購入、旅行などに使う予定がある場合は、額面ではなく手取り額を見て予算を組むことが大切です。
扶養の妻・夫・子どもも個別に支払う?

会社員の扶養に入っている配偶者や子どもが、個別に子ども・子育て支援金を給与天引きされるわけではありません。
基本的には、会社員本人が被保険者として負担します。
ただし、扶養から外れて自分で勤務先の社会保険に加入している場合や、国民健康保険に加入している場合は、自分自身の医療保険料に支援金が関係します。
パート主婦・パート夫は働き方で変わる
パートで働いている人は、働き方によって扱いが変わります。
| 働き方 | 支援金の考え方 |
|---|---|
| 配偶者の扶養内で働いている | 個別に徴収されるわけではない |
| 勤務先の社会保険に加入している | 給与から天引きされる可能性がある |
| 国民健康保険に加入している | 自治体の保険料に上乗せされる |
扶養内で働いているつもりでも、勤務時間や収入の増加によって社会保険に加入するケースがあります。
その場合は、子ども・子育て支援金だけでなく、健康保険料や厚生年金保険料も発生するため、手取りが大きく変わる可能性があります。
子どもがいない人も払う?「独身税」と呼ばれる理由

子ども・子育て支援金は、ネット上で「独身税」と呼ばれることがありま11nす。
しかし、独身税は正式名称ではありません。
子どもがいない人まで負担することから、独身税という言葉が広まってしまったのです。
また、子ども・子育て支援金は「税金」としてではなく「医療保険料」に上乗せされる形で天引きされます。
独身者だけが払う制度ではない
独身者にとっては、子どもがいないのになぜ負担しないといけないのか?という意見もあります。
しかし、子ども・子育て支援金は、独身者だけが負担する制度ではありません。会社員、自営業者、子育て世帯、高齢者など、公的医療保険に加入する幅広い人が対象です。
子育て世帯も医療保険に加入していれば負担します。その一方で、児童手当の拡充や育児関連給付など、子育て世帯向けの支援も用意されています。
不公平に感じる人が多い理由
子どもがいない人や独身の人にとっては、「自分には直接関係ないのに負担だけ増える」と感じるかもしれません。
とくに、物価高や社会保険料の負担が重なっているなかで、給与明細の手取りが減ると不満につながりやすくなります。
ただし、制度上は「独身者だけが払う税金」ではなく、社会全体で子育て支援を支える仕組みとして設計されています。感情的に受け止めたくなるテーマですが、家計管理では、まず自分の負担額を正確に把握することが大切です。
子ども・子育て支援金は何に使われる?

子ども・子育て支援金は、子育て支援策の拡充に使われます。
主な使い道を整理すると、次のとおりです。
| 支援策 | 内容の概要 |
|---|---|
| 児童手当の拡充 | 所得制限の撤廃や高校生年代までの延長など |
| こども誰でも通園制度 | 保護者の就労要件を問わず、一定時間通園できる仕組み |
| 妊婦のための支援給付 | 妊娠・出産期の経済的支援 |
| 出生後休業支援給付 | 育休取得時の給付を支える制度 |
| 育児時短就業給付 | 時短勤務中の収入減を補う給付 |
| 国民年金保険料免除 | 自営業者など第1号被保険者の育児期間を支援 |
このように、幅広い用途で支援金が使われることになるため、子育て世帯やこれから出産を控えている方も手厚いサポートを受けることができます。
FP視点で見る家計への影響

子ども・子育て支援金の負担額は、年収400万円で月384円程度、年収600万円で月575円程度が目安です。
月額だけを見ると、そこまで大きな金額ではないと感じる人もいるでしょう。
しかし、家計管理では「月数百円だから気にしなくてよい」と考えるのではなく、年間の手取り変化として見ることが大切です。
月数百円でも年間では数千円になる
年収400万円の場合、月384円であれば年間では約4,608円です。
年収600万円なら、月575円で年間約6,900円になります。
この金額だけで家計が大きく崩れるケースは少ないかもしれません。しかし、電気代、食費、保険料、通信費、住宅ローン金利など、ほかの支出増と重なると負担感は強くなります。
うどまるこの先、ずっと負担していくことを考えると、たかが数千円でも家計に与える影響は大きいと言えるでしょう
固定費を見直し家計の負担を減らす
子ども・子育て支援金そのものを個人の判断で避けることはできません。
そのため、家計への影響が気になる場合は、まず固定費を確認しましょう。
見直しやすい項目は次のとおりです。
・スマホ料金
・サブスク
・生命保険料
・自動車関連費
・電気・ガスの契約
・使っていないサービス
・クレジットカードの年会費
特に、サブスクやスマホ料金は見直し効果が出やすい項目です。
月500円の支出を減らせれば、年収400万円の支援金負担に近い金額をカバーできます。
うどまる使ってないのに無駄に支払っているサブスクはないですか?
子育て世帯は「負担」と「給付」の両方を見る
子育て世帯の場合、支援金を負担する一方で、児童手当の拡充や育休関連給付などを受けられる可能性があります。
そのため、支払う金額だけでなく、受け取れる支援も含めて家計を考えることが大切です。
とくに、出産予定がある家庭、育休取得を検討している家庭、時短勤務を考えている家庭は、勤務先や自治体の制度もあわせて確認しておきましょう。
よくある質問
- 子ども・子育て支援金はいつから引かれますか?
-
2026年4月分の保険料から始まっています。会社員の場合、令和8年4月保険料、つまり5月に給与天引きされる分から拠出されます。
- 毎月いくら引かれますか?
-
会社員の場合、令和8年度の支援金率は0.23%です。本人負担額の目安は、標準報酬月額に0.0023をかけ、その半分を計算します。
- 年収400万円だといくらですか?
-
こども家庭庁の試算では、年収400万円の本人負担は月384円です。年収600万円では月575円、年収800万円では月767円が目安になります。
- 子どもがいない人も払いますか?
-
はい。子ども・子育て支援金は、子どもがいない人や独身者だけを対象にした制度ではありません。公的医療保険に加入する幅広い人が対象になります。
- 扶養家族も個別に払いますか?
-
会社員の扶養に入っている配偶者や子どもが、個別に支援金を給与天引きされるわけではありません。ただし、扶養から外れて自分で社会保険や国民健康保険に加入している場合は、別途対象になります。
- ボーナスからも引かれますか?
-
はい。企業の従業員については、ボーナスからも支援金を拠出します。健康保険制度や厚生年金保険制度と同様の扱いになります。
- 育休中も支援金はかかりますか?
-
企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に、育児休業中の支援金も免除されます。
まとめ|5月の給与明細で手取りが減ったら、まず控除欄を確認しよう

2026年4月分の保険料から、子ども・子育て支援金制度が始まりました。
会社員の場合、多くの人は5月給与の明細で控除額の変化に気づきやすくなります。
令和8年度の被用者保険の支援金率は0.23%で、基本的に本人と会社が半分ずつ負担します。本人負担の目安は、年収400万円で月384円、年収600万円で月575円です。
ただし、手取りが減った原因は支援金だけとは限りません。住民税や社会保険料の変更、残業代の増減なども関係します。
5月の給与明細で手取りが減ったと感じたら、まずは控除欄を確認しましょう。そのうえで、月額だけでなく年間の手取りへの影響を把握し、必要に応じて固定費の見直しも進めておくと安心です。

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