不動産売却は「手取り」がすべて。不安を「安心」に変える8ステップを解説

不動産売却のイメージ画像

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家やマンションを売ろうと思ったとき、最初に不安になるのは「何から始めればいいのか」ではないでしょうか。
さらに「手取りはいくら残るのか」が見えないと、次の住まいも決めにくいですよね。

不動産会社に相談すると「査定額は○○万円です」と教えてくれますが、それがそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や登記費用、そして譲渡所得税、これらを引いた後の「本当の手取り」を知らないまま話を進めると、あとで「こんなはずじゃなかった」となりがちです。

たとえば、3,000万円で売れた場合、手元に残る額はこんなイメージです。

項目金額(概算)
売却代金3,000万円
仲介手数料(税込)約105万円
登記費用など約10万円
譲渡所得税(5年超・控除なし)約290万円
最終的な手取り約2,595万円

このように、売却価格と手取りには400万円以上の差が出ることも珍しくありません。だからこそ、最初に「お金の流れ」を把握しておくことが大切です。

この記事ではFP3級技能士の筆者が、不動産売却の流れを8ステップで整理しながら、各段階で失敗しやすいポイントも一緒に押さえていきます。媒介契約の選び方、内覧対策、そして税金と確定申告まで、初めて売る人でも迷わないように、順を追って解説します。

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この記事の筆者:「うどまる」
沖縄在住。
建設業とトラックドライバーを経て、2021年よりブロガー兼Webライターとして活動中。
FP3級、簿記3級資格保持者

目次

不動産売却の流れ8ステップ

不動産売却はやるべきことが多いように見えますが、工程は決まっているため、さほど複雑ではありません。
まずは「売却の流れ」を頭に入れるだけで、焦りはぐっと減ります。

不動産売却の流れ(早見表)
ステップやること成功するためのチェックポイント
1(目標設定)目的・手取りの形を明確にするローン残債と手取りのズレがないか確認
2(準備)市場の相場感を掴む「希望価格=売れる価格」と思い込まない
3(査定の見積もり)査定(複数社)で根拠を集める査定額の高さだけで会社を決めない
4(媒介契約)媒介契約を結び、販売戦略を決める契約の種類を理解せずサインしない
5(不動産の売り出し)売り出し開始・内覧に備える写真と見せ方で反応が変わることを知る
6(売却交渉)申込・条件交渉を有利に進める引渡し時期と修繕負担の調整を怠らない
7(契約成立と引き渡し)売買契約・決済・引渡し当日の清算・抵当権抹消の段取りを確認
8(申告)確定申告(必要な人のみ)特例を使うなら申告が必須と認識する

【ステップ1】売却前に「目的」と「手取りの形」を決めよう

家の値段のイメージ画像

最初に、売却の目的を簡潔に書き出しましょう。「住み替え資金の確保」「相続対策での整理」など、目的によってその後の動き方が変わります。

次に、住宅ローンが残っている場合は、必ず残債を確認してください。売却代金が残債を下回ると、売れたのにお金が足りないという事態になりかねません。

簡易シミュレーションしておきたいこと
・想定売却価格を決める
・ローン残債がある場合、具体的に算出する
・諸費用(仲介手数料・登記費用)を調べる
・譲渡所得税(控除額がいくらになるか)を調べる
・ある程度の手取り予想を知っておく

うどまる

この数字を見える化することで、「売ってから足りなかった」という最悪の失敗を防げます

【ステップ2】相場は「公的データ+実勢の目線」で掴む

不動産の相場イメージ画像

相場を見る際、広告の価格だけで判断するのは危険です。広告は「売り出し価格」であり、実際に成立した「取引価格」とは異なるからです。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格や地価公示などの公的データを誰でも確認できます。価格情報だけでなく、防災情報や都市計画情報なども重ねて見られるため、まずはここであなたの物件周辺の取引レンジを掴むのがおすすめです。

不動産相場を見るチェックポイント

  • 同じマンション・同じ間取りの成約事例はあるか
  • 築年数が近い物件はいくらで売れているか
  • 直近3ヶ月と1年前で価格トレンドに変化はあるか

【ステップ3】査定は「価格」より「根拠」を集める作業

不動産の査定相談をする夫婦

査定は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。理由は、会社ごとに得意なエリアや販売戦略が違うからです。

ここで重要なのは、査定額が高い会社が正解とは限らないという点です。「なぜその価格で売れるのか」「どの層に、どう届けるのか」を徹底的に聞いてください。
説明が具体的で論理的な会社ほど、売り出し後の調整もスムーズになりやすいです。

査定面談で聞くべき質問例:

  • この価格の根拠になった類似物件はどれですか?
  • 売り出してから成約までの平均期間は?
  • 広告はどのメディアに、どんな頻度で、どれくらいの期間出しますか?
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高く売りたいなら、複数で見積もりは必須です

【ステップ4】媒介契約は3種類!動き方を確認する

不動産媒介契約

不動産会社に売却を依頼する際は、「媒介契約」を結びます。この契約には、一般・専任・専属専任の3種類があり、不動産会社の義務が変わってきます。

媒介契約の種類特徴
一般媒介契約複数の不動産会社に同時に依頼できる
レインズへの登録義務:なし(任意)
売主への業務報告義務:なし(任意)
自分で買主を見つけて直接取引:できる
専任媒介契約レインズ(不動産業者間の情報網)への登録:契約から7日以内
売主への業務報告:2週間に1回以上
自分で買主を見つけて直接契約→できる
専属専任媒介契約レインズへの登録:契約から5日以内
売主への業務報告:1週間に1回以上
自分で買主を見つけて直接契約→できない(必ず依頼会社を通す)

「報告が遅いと不安」という方は、契約前に報告方法(文書、メール、写真付きなど)や、内覧の反応まで共有してくれるかを具体的に決めておくと安心です。

レインズとは
不動産会社だけが利用できる物件情報交換のためのネットワークシステムのこと。

一般媒介は自由度が高い反面、不動産会社の本気度が下がりやすい側面もあります。他社で決まるかもしれない物件に広告費をかけにくいためです。物件の魅力や市場の状況を見ながら判断してください。

【ステップ5】売り出し開始と内覧対応:第一印象で差をつける

住宅のイメージ画像

いよいよ市場に物件を公開し、購入希望者からの問い合わせを待ちます。この段階で成否を分けるのは「物件の見せ方」です。

売却の流れ(早見表)にもある通り、「写真と見せ方で反応が変わる」ことを理解し、買い手に「住みたい」と思わせる工夫を凝らしましょう。

売却物件の見せ方ポイント
  • 物件写真の質:ポータルサイトに掲載する写真のクオリティは、内覧の有無に直結します。プロに依頼するか、明るさやアングルを工夫して、物件の魅力を最大限に引き出しましょう。
  • 内覧前の準備:内覧者が来た時のために、事前に清掃や整理整頓を徹底します。特に水回りや玄関、リビングなど、印象を左右する場所は念入りに。生活感がありすぎると、買い手が自身の新生活をイメージしにくくなります。
  • 内覧時の対応:質問には誠実に答え、物件の良い点だけでなく、修繕履歴など伝えるべき情報も開示することで信頼を得られます。
うどまる

「映え」は物件でも大事!

【ステップ6】購入申込と条件交渉:引渡し時期と修繕負担を明確に

不動産売却の交渉をする夫婦

購入希望者から「買付証明書」または「購入申込書」が提出されたら、価格だけでなく、その他の条件を交渉する重要なフェーズに入ります。

特に「引渡し時期と修繕負担の調整を怠らない」ことが、後のトラブルを防ぐカギとなります。

  • 価格以外の条件調整:申込があった際、売却価格の次に重要となるのが引渡し時期です。住み替えの場合は、新居への入居時期とのバランスを考慮し、無理のないスケジュールを設定しましょう。
  • 修繕負担の取り決め:引渡し前に発見された設備の故障や不具合(例:給湯器の故障など)について、売主がどこまで負担するのかを事前に明確にします。契約書に明記することで、引渡し直前のトラブルを防げます。
  • 複数申込への対応:複数の買い手が現れた場合は、最も条件の良い相手を選ぶことになりますが、単純な価格だけでなく、「手付金の額」「ローンの確実性」「引渡し条件」なども総合的に判断することが大切です。

【ステップ7】売買契約から決済・引渡しまで:トラブルなく資金を回収する

不動産売買契約書の画像

条件交渉がまとまったら、いよいよ売買契約を結びます。そして、この契約を履行し、最終的に物件と代金を交換する日を決済・引渡し日と呼びます。

当日の清算・抵当権抹消の段取りを確認」し、資金の流れと所有権の移動を確実に行うことが求められます。

  • 売買契約:重要事項説明を受け、契約書の内容を確認します。手付金(売買代金の一部)を受け取るのが一般的です。
  • 決済・引渡し当日:売主・買主、不動産会社の担当者、司法書士、金融機関が一堂に会します。
  • 残代金の受領:買主から売買代金の残額を受け取ります。
  • 諸費用の清算:固定資産税や管理費・修繕積立金などを日割りで精算します。
  • 抵当権の抹消:住宅ローンが残っている場合は、この日の受領金でローンを完済し、司法書士が抵当権の抹消登記を行います。
  • 鍵の引渡し:所有権が買主に移転した証として、鍵を引渡し、すべての手続きが完了します。
うどまる

売却が完全に終了するまで、ちゃんと対応しましょう

仲介手数料はいくらか:上限の考え方を押さえます

仲介手数料は、契約が成立したときに発生する成功報酬です。
これは、国土交通省の告示で上限額が定められています。

売買の仲介手数料(税込)の上限

  • 200万円以下の部分:5.5%
  • 200万円超~400万円以下の部分:4.4%
  • 400万円超の部分:3.3%

具体例

売却価格3,000万円の場合
→(3,000万円×3.3%)+6.6万円=105.6万円(税込)

また、物件価格800万円以下の「低廉な空家等」には特例があり、この場合、上限は33万円(税込)以内とされています。
「手数料がいくらになるか不安」という人は、媒介契約の前に上限と見積りをセットで確認しましょう。
あとから揉める原因は、金額そのものより「聞いていなかった」感情の方が多いです。

【ステップ8】売却後の確定申告:特例の適用で税金を抑える

不動産売却後の確定申告

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、原則として売却した年の翌年に確定申告が必要です。
「特例を使うなら申告が必須」という認識が非常に重要です。税金を抑えるための様々な特例(控除)は、申告しなければ適用されません。

国税庁は、課税譲渡所得金額を「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で計算すると示しており、所有期間で税率が変わります(ここが手取りに直撃します)。

判定基準:売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうか

  • 長期譲渡所得(5年超):所得税15%・住民税5%
  • 短期譲渡所得(5年以下):所得税30%・住民税9%

さらに平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までは、復興特別所得税として所得税額の2.1%を上乗せします。

例:2020年4月に購入→2025年12月に売却の場合
→2025年1月1日時点では所有期間4年9ヶ月なので「短期」扱いになります。

この差は大きいので、売るタイミングに迷う人が多いポイントです。
年末の売却を検討している人は、年明けまで待つと税率が変わる可能性があります。

マイホームなら「3,000万円特別控除」の可能性があります。

国税庁は、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があると示しています。

3,000万円特定控除の主な要件

  • 現に住んでいる家屋、または住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売る
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」への売却は対象外
  • 前年・前々年にこの特例を受けていない

そして重要なのは、特例を使うには確定申告が必須という点です。
たとえ税額がゼロになる場合でも、申告しなければ特例は適用されません。控除をするのとしないのでは大きな違いがあるので、必ず申告しましょう。

うどまる

これ、意外と知らない人が多いんです

確定申告の期限はいつか


国税庁は、確定申告の期間は原則「翌年2月16日から3月15日まで」と示しています。
売った年の翌年に手続きが来るので、売却直後は意外と忘れやすいです。

確定申告するときに準備しておくべき書類

  • 売買契約書のコピー
  • 購入時の売買契約書・領収書
  • 仲介手数料等の領収書
  • 登記事項証明書

失敗しやすいポイントを、先回りでつぶすチェックリスト

チェックポイントのイメージ画像

最後に、売却時の「あるある」のつまずきを、対策つきでまとめます。
不安が強い人ほど、必ずチェックしてください。

不動産売却前に注意すること
  • 査定額だけで会社を決めそうになったら、根拠と販売戦略を必ず聞く
  • 媒介契約はサイン前に、報告頻度とレインズ登録の扱いを確認
  • 売り出し後は、反応が弱い原因を分解して、写真・見せ方から直す
  • 手取りは「売却代金-諸費用-税金」で決まるので、先に概算する
  • 5年の判定は「売却年の1月1日時点」なので、売却時期に注意
  • 3,000万円控除を狙うなら、要件確認と申告準備を早めに始める

よくある質問(FAQ)

不動産売却に関する質問のイメージ画像

Q1. 不動産売却は全体でどれくらいの期間がかかりますか?

A. 物件や市況で差はありますが、一般的には「査定~売り出し~成約~引き渡し」まで数か月単位で見ておくと安心です。売り急ぐほど値付けや条件面の調整が必要になりやすいです。

Q2. 査定は何社に依頼するのがよいですか?

A. 1社だけだと判断材料が不足しやすいので、複数社で「価格の根拠」と「販売戦略」を比べるのがおすすめです。査定額そのものより、根拠の説明が具体的かを見ます。

Q3. 机上査定と訪問査定は何が違いますか?

A. 机上査定は周辺相場などから概算を出します。訪問査定は室内状況や管理状態なども踏まえるため、より成約価格に近い見立てになりやすいです。

Q4. 媒介契約はどれを選ぶべきですか?

A. 売主のスタイルで決めます。
・複数社に同時に頼みたい→一般媒介
・窓口を一本化して任せたい→専任媒介/専属専任媒介
専任・専属専任では報告頻度やレインズ登録などのルールがあるため、契約前に確認しておくと安心です。

Q5. 仲介手数料はいくらかかりますか?

A. 宅建業法に基づく告示で上限が定められています。売買価格帯ごとに料率が異なり、上限の範囲内で不動産会社が定めます。

Q6. 住宅ローンが残っていても売れますか?

A. 売れます。ただし、引き渡しまでにローンを完済し、抵当権を抹消する段取りが必要になるのが一般的です。売却代金で完済できない場合は不足分の資金手当てが必要です。

Q7. 売却益が出たら税金は必ずかかりますか?

A. 譲渡所得がプラスなら課税対象になり得ますが、計算は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」で行います。
マイホームなら3,000万円特別控除が使える場合もあります。

Q8. 税率はどれくらいですか?短期と長期で違いますか?

A. 所有期間によって税率が変わります。国税庁の説明では、長期譲渡所得は所得税15%(住民税5%)、短期譲渡所得は所得税30%(住民税9%)です。

Q9. 3,000万円特別控除を使うには確定申告が必要ですか?

A. 必要です。国税庁は、この特例の適用を受けるためには確定申告と書類添付が必要だと示しています。

Q10. 確定申告はいつやればいいですか?

A. 原則、売却した年の翌年に申告します。国税庁は申告期間を「翌年2月16日から3月15日まで」と示しています。

まとめ:不動産売却は「順番」と「手取りの見通し」で不安はなくなります

マイホーム前で笑顔の夫婦

今回は、準備から査定、媒介契約、売り出し、契約、引き渡し、確定申告までを8ステップで整理しました。
売却は「何から始めるか」と「いくら残るか」が見えないと、不安が大きくなりやすい手続きです。

特に、媒介契約の違いと、譲渡所得の税率や3,000万円特別控除などの税務は、手取りを左右する重要ポイントです。
まずは全体像を押さえ、次に相場と残債を確認し、複数社の査定で根拠を比べてください。
順番さえ守れば、売却は落ち着いて進められます。

うどまる

上手に売却して手取り額を増やしましょう!


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